映画三昧 2
せっかく、山ほど映画を観たのですから、やっぱり、感想めいたことを
書いておこうと思います。今夜観たのは「ヘルタースケルター」。今頃?
って感じですが、これまで、なんとなく、見よう!って気になれません
でした。今夜も、さほど、気分が乗ったというわけでもないんですが、
「FRAUEN IM LIEBESLAGER」とか、「PATRICK VIVE ANCORA」とか、
「SNAPDRAGON」とか、「NUDO E SELVAGGIO」など、まあ、どうして、
ここまでB級なんだ?という映画、しかも、言葉が全然、わからない
(ロシア語で、字幕の代わりに吹き込んである。吹き替えではありません
元の音声に被せて映画のセリフを同時通訳?するので、元のセリフが
英語でも、聞き取れもしない)のを、延々と見たので、なにか、少しは
マシな映画がないかな…、おお、そうだ、ヘルタースケルターをまだ
見てなかったと思い出したのがきっかけです。
まあ、そんな状態だったからということもあるかも知れませんが、意外と
面白かったのです。しかも、沢尻エリカが、イイ!この脚本でイタリア
映画になったら、間違いなくB級映画にしかならないところをエリカ様の
力で、A級とは言わないまでも、B級にはしなかった、そこが、スゴイ!
もちろん、脇役が豪華ですよね。桃井かおりに、寺島しのぶ、大森南朋、
新井浩文、綾野剛、原田美枝子。それに、江口のりこまで出てるというん
ですが、いくら探しても、どこに出ていたのか不明(笑)土屋アンナは、
桃井かおり社長の席の後ろに飾った写真の中にいたりしました。そんな
ことは、ともかく、役柄と沢尻エリカのキャラクターやルックスが、
ぴったり合ったのでしょう。でも、この映画、終わり時を完全に失って、
最後のあやしげなクラブのシーンは、蛇足だったのが残念でした。
検事役の大森南朋クンが、スクランブル交差点で、比留駒千加子と偶然
会ったあたりで終わるのがベストだったかな。
ヘルタースケルターは、しっちゃかめっちゃかという意味だそうですが、
ベルトラン・ブリエ監督の「Calmos」こそ、しっちゃかめっちゃかとしか
表現のしようがない映画です。「MERCI LA VIE」も、しっちゃかめっちゃか。
この監督、大人の童話と評判の「ダニエラという女」や、カンヌ審査員
特別賞を受賞した「美しすぎて」も、撮ってるっていうんですが、あとの
二つは未見なので、どうも、信じられません。でも、映像に説得力が
あるので、どんなに荒唐無稽だろうが、突拍子もない展開になろうが、
惹きつけられるんですね。
「L'Annulaire」は、原作が小川洋子さんの「薬指の標本」なんだそう
ですが、英語字幕だけでは、ディテールがわからないままでした。でも、
汗ばんだ肌が何度も出てくるというのは、やはり、日本の小説が原作に
なっているからかなあと思いました。汗がにじむなんてシーンは、
洋画では初めて見ましたもの。
洋画では初めて見ましたもの。
押井守監督のじゃなくて、ルシール・アザリロビック監督のフランス映画
「Innocence」も観ました。日本では「エコール」というタイトルで公開
されたそうです。この監督、たぶん、日本映画をたくさん見てるんじゃ
ないかしら。誰かが「1999年の夏休み」のパクリだ!と書いてましたが、
森の中のシーンは、むしろ、千と千尋を思い浮かべました。しかし、
映画の内容は、まさに、フランス映画。背徳の香りや犯罪の匂いが、
ずーーーっと、たちこめたままです。ラスト寸前までは。道具立ては、
どうあれ、映像は、やはり、フランス映画です。女性を撮らせたら、
フランス映画にかないませんね。でも、もう少し、女性にやさしい視線を
向けてあげればいいのにって思うことは多いですけど。
「Flossie(1974)」や「The Virgin Spring(1960)」のスェーデン映画も
観ました。Flossie は、もし、クリスチーナ・リンドバーグ版が完成して
いたら、また、評価が変わったかもしれませんが、単なるポルノ。一方、
The Virgin Spring は、多くの人が、絶賛するのですが、私には、その
良さが、さっぱり、わかりません。特に、最大の山場である泉が湧き出す
シーンも、とってつけた感じだったのですが、誰かが「脚本家がどうしても
入れたかったシーンであり、一方ベルイマンは入れたくなかったシーン」
と書いてたので納得しました。上司から気に入らない仕事を押しつけられた
ときの仕事っていうわけですね。樺の樹を捻り倒す↓↓↓のカットは、
映画の紹介動画などで見て、この映画を観てみようという動機となるような
絵になるシーンなのですが、要するに、サウナで身体をたたくための樺の
枝を取るために倒しただけ?怒りの表現のためだけなら、もう少し、他の
方法もあった?と、冷ややかに見てしまいました。
少年が殺された少女に土をかけるシーンでは、
よく見ると死んだはずの少女の胸が呼吸で動いてるし、少年に土を顔に
かけられる瞬間に反応してたりするのが見えて、まあ、ここは、撮り直し
でしょ!と、思わずツッコミたくなります。単なるあら探しになってきて
ますけどね。黒澤明のマネをしたけど、失敗した作品としか思えません。
って、そこまでヒドイわけじゃないんですけど、多くの人が、スゴイ映画だと
絶賛してるのに、私だけ、その良さがわからないヒガミなんでしょう。
反対に、Tiresia は、ネット上での評価が、ほとんどありません。日本では
未公開のままだったのかな?この映画は、二部構成になっていて、男娼が
監禁されて、鑑賞され、やがて、捨てられる(文字通り、捨てられる。
しかも、両眼をつぶされて)前半と、その捨てられた男娼(Tiresia)が
少女に拾われて介抱されるが、結局、神父に殺されるという物語。でも、
スゴイんです。この映画。男娼達が客に拾われる森、監禁犯が愛し、
やがて惨殺するハリネズミ。少女が、Tiresia を見つける小川。Tiresia の
顔にヒゲが生えてきたときに、顔が男の顔になる。そうしたひとつひとつが、
非常に高いリアリティを持って描かれていて、観客は、その場にいて、
目撃している感覚になるのではないか。しかし、一方で、前半と後半で、
Tiresia を別の役者が演じ(映画を紹介する動画を見たときに、性同一性
障害者をとりあげたドキュメンタリーと勘違いしたのは、このせい)前半の
監禁犯と後半の神父は、明らかに違う人物のはずだが、同じ俳優が
演じるという仕掛けがしてあって、観客を混乱させるが、同時に作品に
深みを与えているのだと思いました。とにかく、見終わったあとに、
うーむと、うならされてしまう映画でした。「House of Tolerance」は、まだ、
やがて惨殺するハリネズミ。少女が、Tiresia を見つける小川。Tiresia の
顔にヒゲが生えてきたときに、顔が男の顔になる。そうしたひとつひとつが、
非常に高いリアリティを持って描かれていて、観客は、その場にいて、
目撃している感覚になるのではないか。しかし、一方で、前半と後半で、
Tiresia を別の役者が演じ(映画を紹介する動画を見たときに、性同一性
障害者をとりあげたドキュメンタリーと勘違いしたのは、このせい)前半の
監禁犯と後半の神父は、明らかに違う人物のはずだが、同じ俳優が
演じるという仕掛けがしてあって、観客を混乱させるが、同時に作品に
深みを与えているのだと思いました。とにかく、見終わったあとに、
うーむと、うならされてしまう映画でした。「House of Tolerance」は、まだ、
ざっとしか見てなかったのですが、じっくりと見ないワケにはいきません。
邦画は、「愛のむきだし」も面白かったですよ。私は、満島ひかりに、
朝ドラの「瞳」で初めて会いました。同じく、朝ドラの「おひさま」にも
出演してたので、イメージが固まりかけていたところに、NHK BS の
「開拓者たち」で、まるで違うイメージを与えらて、びっくりしましたが、
「愛のむきだし」では、さらに違う満島ひかりに会って、さらに驚かされ
ました。現在、TVドラマ「Woman」で好演中ですが、もう、「瞳」の頃の
満島ひかりは、誰?っていうくらい女優です。でも、笑うと、どの役を
やってても、地の満島ひかり?に戻っちゃうんですよね。
「開拓者たち」では、私は初めて綾野剛にも会ってるんですね。でも、実は
ヘルタースケルターにも出てて、「GANTZ」にも出ていて、その「GANTZ」で
魅惑の横乳を見せてくれたのが、夏菜で、悪評だった朝ドラ「純と愛」を
最後まで見させたのも、あの横乳の魅力だったんですね。綾野剛は、
「セカンドバージン」で、鈴木京香の息子役やってた。「愛のむきだし」
にも出てるらしいので、調べたら、1シーン、1分ほどの出演だったとの
ことでした。でも、「カーネーション」の周防さん役が、イメージに
ぴったりと思うんですけど。「最高の離婚」のときも、ハマリ役でした。
半グレ男から、大名まで、よくもまあ、これだけ、幅広く演じられる
半グレ男から、大名まで、よくもまあ、これだけ、幅広く演じられる
ものだと、感心してしまいます。
でも、こうして見ると、朝ドラって、知らなかった役者に会える機会を
提供してくれますよね。玄覺悠子とか。江口のりこが、朝ドラに出る日を
楽しみに待ってます。
韓国映画は、好きな人は好きなんでしょうけど、嫌いな人は見向きも
しないのかも知れません。私は、いわゆる、韓流ドラマは、いっさい
見ませんでしたが、「悪い男」は、韓国映画についての先入観みたいな
ものを気持ちよく、ぶっ壊してくれました。このぐらい重厚な映画を
日本でも作ってくれないかなあ。純製作費 7億5千万ウォンで、これだけの
映画が作れちゃう。スゴイなあ。この監督の他の作品も探してみよーっと。
まだまだ、いろいろ、観たのですが、作品が多すぎて、感想というよりも、
コメント集みたいになってしまいました。まとめとして、今夏観た映画の
ベストスリ-を発表します。
第一位 王妃マルゴ(La Reine Margot)
第二位 ロイヤル・アフェア(A Royal Affair)
第三位 ティレジア(Tiresia)
今後の鑑賞予定としては、ベストスリーに、二つも中世ヨーロッパ物が
入ったので、「1492 Conquest of Paradise(1992)」「Macbeth(1971)」
「Anonymous (2011)」といった中世物。江口のりこマイブームつながりで、
「ジョゼと虎と魚たち」。「悪い男(Nabbeun Namja)」をもう一度。
フランス映画の「House of Tolerance(2011)」に、メキシコ映画の
「Ano bisiesto (2010)」あたり。あとは、「Import-Export(2007)」
「30 Beats (2012)」「About Cherry (2012)」「Hotel Desire (2011)」
「戦闘少女 血の鉄仮面伝説 (2010)」「Cynara Poetry in Motion (1996)」
「Little Deaths (2011)」などを、パラパラと観て行こうかなと。
映画三昧、秋の編の始まりです。
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コメント
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獺祭風映画鑑賞記と申せましょうか、いろいろわらわらですねー!
風さんの、他のいろんなコメントの印象が邪魔をするのか、
作品の志向が分かるような分からんような、凡人には想像つかない
哲学的共通項があるのかないのか、いやいや文学青年に見せかけて、
実は無理数関数により導きだされた作品群か、
もしや単に「カワイ子ちゃん」がキイワードなのか?
何にせよ、観てみたいなーと思う作品もいくつかあったので、メモメモ。
投稿: まのじ | 2013年10月28日 (月) 16時03分
獺祭なんて言葉に初めて会いました。カワウソが魚を並べるのですか。
当然、川魚だけですよね。アメフラシやマンボウは並べない。
私の映画選びは、ふたつのキーワード「スケベ」と「魅力ある女性」で
90%くらいが当てはまります。あとの10%に、「Looper」や、
「Pacific Rim」などのSFが入ったり、「The King's Speech」や
「Changeling」、「Into the Wild」、「The World's Fastest Indian」などの
実話を元にしたものなどが混じることによって、めくらまし効果が
出てるのかも知れませんね。ちなみに、ジャンルが合うなら、
10%に列挙した作品は、いずれも好きな作品です。
「Looper」の主演男優の顔が好き。あとは、その時々の
マイブームの俳優が出る映画を追っかけたり監督で追っかけたり。
投稿: 何処吹く風 | 2013年10月28日 (月) 21時42分
「Hotel Desire (2011)」
この映画モザイク無しのオリジナル版を見るとびっくりしますよ。
だって本当に挿入しているのが判ります(33:14頃)…。
通りすがりのつぶやきでした。
投稿: 通りすがり | 2016年1月 7日 (木) 05時01分
改めて観ました。なんと、40分程度の
短い作品だったのですね。
問題のシーン?は、確かに角度的にも
動きとしても実際に挿入しているように
見えますが、カメラアングルで微妙に
外して実際の結合部分自体は映さない
ようにしてましたね。
逆に実際に出し入れがハッキリと
映されてる映画でも例えば真後ろからの
アングルで、そのシーンだけ俳優が
入れ替わっていても、わからないように
撮影されていたりします。
まあ、なんでこんなに、ややこしいことを
やってるの?という前に、SEXシーンだけなら
ポルノでは、さんざん観ることができるのに、
こんな「ヤってる?ヤってない」的なシーンの
ほうに興奮しちゃったりするのは何故?
とか思っちゃいますよねぇ。
投稿: 何処吹く風 | 2016年1月11日 (月) 12時31分